支部長あいさつ
私の異文化コミュニケーションとの出会いは、大学卒業後、まもなく放送されたNHK教育テレビの故ディーン・バーンランド先生のインタビュー番組でした。1988年にポートランドで開催された異文化コミュニケーションセミナー(Summer Institute of Intercultural Communication)で、初めて先生にお目にかかり、声をかけさせていただいた時の感動は今でも忘れられません。
当時、私はポートランド州立大学のM.A.プログラムに在籍中の大学院生で、2010年に他界されたラレイ・バーナ先生のもとで異文化コミュニケーションについて学んでいました。恥ずかしながら、“Intercultural Communication”という言葉を最初に使われたのはバーナ先生であったことを、最近知った次第です。こうして長年に渡り、異文化コミュニケーション分野に携わっていられるのも、この偉大なお2人の先生方のお陰だと心から感謝しています。
関西支部は、これまで、同じ社会における「共文化」集団とのコミュニケーションを異文化コミュニケーションと捉え、様々な活動を実施してきました。昨年は、在日コリアンの高齢者問題や、日本の外国人および民族的マイノリティの人々に関する大学における多文化教育など、私たちの身近なコミュニティの人々とのコミュニケーション上の課題に着目した月例会を実施しました。また、夏と秋には多文化関係学会やJALTなど、他学会との連携のもと研究会を開催しました。
今日、私たちがIT時代の恩恵を益々、享受している傾向は否めません。しかし、そのような世の中であるからこそ、より一層、face-to-faceのコミュニケーションの重要性を再認識する必要があるのではないでしょうか。関西支部はこの春より新しい運営委員を迎え、一同、益々、ハリキッております。これまでの運営委員の経験を活かし、関西支部の活動に微力ながら貢献していきたいと思います。
2011年12月
関西支部長 中川典子